北海道の代表的水産物であるホタテは、浅海の砂底にもぐらずにくらし、魚のように自身で海中を泳ぎ回ることが少ない、生息している環境の変化による影響を受けやすく、自然環境で付着した稚貝の生存率も低いため、天然貝を漁り続けたら乱獲に陥るリスクが高かった。貴重な水産資源をいつまでも残れるように、八雲町は「育てる漁業」に力を注ぐ、垂下式養殖と呼ばれる方法が盛んに行われています。毎年5~6月頃、漁師たちは古い漁網などをタマネギ袋の中に入れて、採苗器として再利用し、海中に垂下して稚貝を採取しています。安全な環境で越冬したホタテの赤ちゃんが大きくなって、豊富な栄養分を取れるため、3~5月まで貝殻の耳に穴を開けて糸を通し、ロープに通したうえで複数のホタテを一気に海に吊る「耳吊り」作業が急ぎ足で進めます。この時期では沢山の働き手が必要で、漁期休みの漁師さんはもちろん、手伝ってみたい、働いてみたい方も遥々から八雲町にやってきて、「でめんさん」(漁期や農繁期のアルバイト)として活躍しています。